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2013/03/30からのアクセス回数 10092

未整理のトランジスタ

以前はじめてのトランジスタ回路設計(以下、トランジスタ本と書きます) をPSpiceを使ってさらっていたのですが、どうもきちんと理解できていませんでした。

同じ著者の黒田氏がトラ技に書かれた特集を一冊にまとめた 実験で学ぶトランジスタ・アンプの設計 (以降、実験本と書きます)をベースに勉強をやり直してみました。 この本で使われているプリント基板と部品をまとめたパッケージがCQ出版から販売されているの 地方に住む私でも実験を楽しめました。

実験本のすばらしいところ

実験本のすばらしいところを以下にまとめてみました。

1石トランジスタ回路

トランジスタの発見が如何に大変なことだったのかを知るよい教材がNHK特集の 電子立国 2回 トランジスタの誕生 です。

トランジスタを増幅回路として使う場合、その動作範囲がきわめて狭いことを実験本の図1-8にあります。

fig1_8.png

さっと読んでいると、見過ごしてしまうかも知れませんが、この図でのきちんと増幅できるVbiasの範囲は、 600mV-635mVです。

フリーのLTSpice*1を使って実験本の図1-4を再現してみました。*2

fig1_3.png

ちょっとわかりずらいですが、.setpを使ってVbiasを0.650, 0.6186, 0.550に変えてシミュレーション した結果が上記の図です。

Vbiasがこれだけずれただけで、Sin波が上部でつぶれたり、下部で直線のようになってしまします。

安定動作点を求める

実験本では、以下の手順で安定に動作する条件を求めています。

ofig1_3.png

図1-3の回路では、無信号の時コレクターの電圧を2.5Vにすると波形が崩れない(上部や下部がカットされない)ので、コレクター電圧2.5Vになるようなコレクター電流を計算します。

$$ I_C = \frac{ V_{CC} - V_{CE} } { R_1 } = \frac{ 5 - 2.5 } {10000} = 0.25 mA $$

トランジスタ本では、\( V_{BE} = 0.6 V \) として説明していましたが、実験本ではちょっと違っていました。

fig1_6.png

トランジスタを図1-6のような簡略化したエバースモル・モデルを使って表現し、 $$ I_C = \beta_{F} I_B $$ $$ I_B = \frac{I_C}{\beta_F} \left( e^{\frac{q}{k T} V_{BE}} - 1 \right) $$ を使い、指数の部分が1よりも遙かに大きいとして、 $$ I_B = \frac{I_C}{\beta_F} e^{\frac{q}{k T} V_{BE}} $$ として、 $$ I_{C} = I_{S} e^{\frac{q}{k T} V_{BE}} $$ から、 $$ \frac{ I_C } { I_S } = e^{\frac{q}{k T} V_{BE}} $$ に変形し、両辺の対数(ln)を取ると $$ ln \left( \frac{ I_C } { I_S } \right) = \frac{q}{k T} V_{BE} $$ となり、 $$ V_{BE} = \frac{k T} {q} ln \left( \frac{ I_C } { I_S } \right) $$ が求まり、コレクター電流(\( I_C\))から\( V_{BE} \)を求めています。

からSageで計算すると、\( V_{BE} = -0.615 \)と求まりました。

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(Input image string)

*1 実験本では、SIMetrix/SIMPLISを使っていますが、ここではフリーのLTSpiceを使います
*2 filefig1_3.cir

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