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2013/03/30からのアクセス回数 &counter;

** 未整理のトランジスタ [#hd081dd5]
以前[[はじめてのトランジスタ回路設計>http://www.amazon.co.jp/dp/4789832805/]](以下、トランジスタ本と書きます)
をPSpiceを使ってさらっていたのですが、どうもきちんと理解できていませんでした。

同じ著者の黒田氏がトラ技に書かれた特集を一冊にまとめた
[[実験で学ぶトランジスタ・アンプの設計>http://www.amazon.co.jp/dp/4789841723/]]
(以降、実験本と書きます)をベースに勉強をやり直してみました。
この本で使われているプリント基板と部品をまとめたパッケージがCQ出版から販売されているの
地方に住む私でも実験を楽しめました。

** 実験本のすばらしいところ [#e05d07f1]
実験本のすばらしいところを以下にまとめてみました。
- 理論値と実際の回路の測定値の差がどのように生じているか説明されている点
- パソコンを使って信号発生と波形解析を行うため、これまで本に書いてあるだけの周波数特性やゲインが簡単に得られる点
- SPICEと小信号等価回路で回路の設計方法を分かりやすく説明している点
- 付属のプリント基板で実験しながら進めていくことができる点

** 1石トランジスタ回路 [#s34882e0]
トランジスタの発見が如何に大変なことだったのかを知るよい教材がNHK特集の
[[電子立国 2回 トランジスタの誕生>http://www.nicovideo.jp/watch/sm17967188]]
です。

トランジスタを増幅回路として使う場合、その動作範囲がきわめて狭いことを実験本の図1-8にあります。

&ref(fig1_8.png);

さっと読んでいると、見過ごしてしまうかも知れませんが、この図でのきちんと増幅できるVbiasの範囲は、
600mV-635mVです。

フリーのLTSpiceを使って実験本の図1-4を再現してみました。((&ref(fig1_3.cir);))
フリーのLTSpice((実験本では、SIMetrix/SIMPLISを使っていますが、ここではフリーのLTSpiceを使います))を使って実験本の図1-4を再現してみました。((&ref(fig1_3.cir);))

&ref(fig1_3.png);

ちょっとわかりずらいですが、.setpを使ってVbiasを0.650, 0.6186, 0.550に変えてシミュレーション
した結果が上記の図です。

Vbiasがこれだけずれただけで、Sin波が上部でつぶれたり、下部で直線のようになってしまします。

*** 安定動作点を求める [#db655e34]
実験本では、以下の手順で安定に動作する条件を求めています。

&ref(ofig1_3.png);

図1-3の回路では、無信号の時コレクターの電圧を2.5Vにすると波形が崩れない(上部や下部がカットされない)ので、コレクター電圧2.5Vになるようなコレクター電流を計算します。

$$
I_C = \frac{ V_{CC} - V_{CE} } { R_1 } = \frac{ 5 - 2.5 } {10000} = 0.25 mA
$$

トランジスタ本では、\( V_{BE} = 0.6 V \) として説明していましたが、実験本ではちょっと違っていました。

&ref(fig1_6.png);

トランジスタを図1-6のような簡略化したエバースモル・モデルを使って表現し、
$$
I_C = \beta_{F} I_B
$$
$$
I_B = \frac{I_C}{\beta_F} \left( e^{\frac{q}{k T} V_{BE}} - 1 \right)
$$
を使い、指数の部分が1よりも遙かに大きいとして、
$$
I_B = \frac{I_C}{\beta_F}  e^{\frac{q}{k T} V_{BE}}
$$
として、
$$
I_{C} = I_{S} e^{\frac{q}{k T} V_{BE}}
$$
から、
$$
\frac{ I_C } { I_S } = e^{\frac{q}{k T} V_{BE}}
$$
に変形し、両辺の対数(ln)を取ると
$$
ln \left( \frac{ I_C } { I_S } \right) = \frac{q}{k T} V_{BE}
$$
となり、
$$
V_{BE} = \frac{k T} {q} ln \left( \frac{ I_C } { I_S } \right)
$$
が求まり、コレクター電流(\( I_C\))から\( V_{BE} \)を求めています。

- \(I_S\) : 飽和電流 SPiceモデルから1*E-23としている
- \( \beta_F \) : 順方向電流増幅率
- q : 電子の電荷 \(1.60217 \times  10 ^ {-19}\)
- k : ボルツマン例数 \(1.38065 \times  10 ^ {-23}\)
- T : 絶対温度 (25℃では、25 + 273.15 となる)

からSageで計算すると、\( V_{BE} = -0.615 \)と求まりました。


** コメント [#q25fa707]
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