Arduino勉強会

2014/08/31からのアクセス回数 16787

米粒Arduinoを使ってみる

Arduino勉強会のメンバーの岡野さんに米粒大のAVR ATtiny10を紹介して頂きました。 調べて見るとArduino用にライブラリーを提供している人もいるので、米粒Arduinoを 使ってみることにしました。

Atmel Studioの入手

ATTiny10に書き込むには、Atmel Studio6を使ってAVR MkIIのファームウェアを書き替える 必要があるのですが、最新の6.2にはtoolメニューにAVR Tools Firmware Upgradeがありません。

そこで、以下のサイトから6.1betaをダウンロードしました。

ライターの変換モジュール

ATtiny10はとても小さいので、秋月の実装モジュールを運良く購入できました。 *1

変換基板も秋月にありますので、自分でハンダ付けすることも可能です。

最初に用意したのは、ATtiny10へのライターとATtiny10との変換モジュールです。 配線は、 米粒AVR(ATtiny10)をArduino IDEで使う。暫定レポート2 を参考にさせて頂きました。

convert_writer_pin.png

変換モジュールの結線は、以下の通りです。

AVR MkIIATtiny10
1: MISO1: D0/A0
2: VCC5: VCC
3: SCK3: D1/A1
5: RESET6: RESET
6: GND2: GND

ピン配置は、以下の画像を参照してください。

ライターの動作確認

変換モジュールができたので、正しく動作することをAtmelStudioを使って確かめます。

良く例題にでているのは、D0にLEDを接続するものですが、これではライターを識別できず、書き込めません。 そこで、D2にLEDを接続するように修正しました。

#include <avr/io.h>
#include <util/delay.h>

int main() {
     DDRB = 0xff;

     for ( ; ; ) {
          PORTB |= 4;
          _delay_ms(500);
          PORTB &= 0xfb;
          _delay_ms(500);
     }
}

書込には、Tools Device Programmingを選択し、Tool: AVRISP mkII, Device: ATtiny10をセットします。 Production fileでビルドされたelfファイルを指定して、Programボタンを押すと書込が始まります。

書き込む時には、ATtiny10に5Vの電源を供給し、書き込み後はリセット(電源を再度つなぎ直すことで対応) する必要があります。

th_Atmel_Studio_programer.jpg

電源とUSBシリアル変換モジュール

ATtiny10への電源供給とUSBシリアル変換を行うために、マルツパーツの

【MPL2303SA】超小型USBシリアル・モジュール を使用しました。

MPL2303SAのピン配置は、以下の通りです。

MPL2303SA_meishou.jpg

LED点灯の様子

MPL2303SAとATtiny10をつないで、LEDを点滅している様子です。 LED点灯のプログラムで、128Byteになります。ATtiny10のフラッシュは、 1024Byteなので、約1割を使ってLEDの点滅が動いています。

LED_setting.png

ATtiny10をArduino IDEで使う

世の中にはすごい人がいるもので、ATtiny10をArduino IDEでプログラミングできるようになりました。 kosakalabの方がその方法を公開されています。

MacとWindowsに対応していますが、ここではMacの方法のみを簡単に整理しておきます。

  1. ATtiny用定義ファイル群(attiny.zip)をダウンロードし、Arduinoのスケッチが保存されるフォルダーにhardwareというフォルダを作成し、その中に展開したattinyフォルダを入れる
  2. AVR-GCCコンパイラーをダウンロードし、インストール
  3. Arduino IDEの内容を以下の手順でターミナルから変更($ はシェルのプロンプトです)
    $ cd /Applications/Arduino.app/Contents/Resources/Java/hardware/tools/
    $  mv avr avr-original
    $  ln -s /usr/local/CrossPack-AVR /Applications/Arduino.app/Contents/Resources/Java/hardware/tools/avr
    

使い方

準備ができたので、Arduino IDEでATtiny10のスケッチを作成し、書き込んでみます。

LED点滅を書き込みます。最初の例題との違いが分かるように点滅時間を短くしてみます。 ledの番号は2を使います。

int led = 2;

void setup() {                
  pinMode(led, OUTPUT);     
}

void loop() {
  digitalWrite(led, HIGH);   
  delay(200);              
  digitalWrite(led, LOW);   
  delay(200);            
}

実際に書き込んで動作している様子です。

ATtiny10_blink.png

シリアル通信(送信のみ)を試す

LED点滅だけでは、つまらないのでシリアル通信をしようと 「スケッチの例題」→「04.Communication」→「ASCIITable」 をコンパイルするとエラーになってしまいました。ATtiny10にはシリアル モジュールがないので、当たり前と言えばその通りです。 それでSoftSerialを使って見たのですが、こちらも未対応でエラーになりました。

調べて見るとATtinyでシリアル通信(送信)を実行した人がいらっしゃいました。

ここで紹介されているシリアル関数を使ってArduino IDEからHello World!を表示するスケッチを 作って見ました。

#define  led  2

void setup() {
  serialBegin();
  pinMode(led, OUTPUT); 
}

void loop() {
  digitalWrite(led, HIGH);
  delay(1000);
  digitalWrite(led, LOW);
  delay(1000); 
  // 直接文字を出力しないとタイミングがずれて文字化けする
  serialWrite('H');
  serialWrite('e');
  serialWrite('l');
  serialWrite('l');
  serialWrite('o');
  serialWrite(' ');
  serialWrite('W');
  serialWrite('o');
  serialWrite('r');
  serialWrite('l');
  serialWrite('d');
  serialWrite('!');
  serialWrite('\n');
}

ここで、タブにTinySerialを追加します。

#include <avr/io.h>
#include <util/delay.h>

#define DELAY  500
// 9600bps
#define SERIAL_TIME_PER_BIT1    104
#define SERIAL_TIME_PER_BIT2    102

#define SERIAL_TX_PIN            PB1

void serialBegin() {
  CCP = 0xD8;
  CLKMSR = 0x00;
  CCP = 0xD8;
  CLKPSR = 0x00;

  DDRB |= _BV(SERIAL_TX_PIN);
  PORTB |= _BV(SERIAL_TX_PIN);
}

void serialWrite(uint8_t data) {
  PORTB &= ~(_BV(SERIAL_TX_PIN));    // start bit
  _delay_us(SERIAL_TIME_PER_BIT1);
  uint8_t i;
  for(i=1;i;i<<=1) {
    if(data&i) {
      PORTB |= _BV(SERIAL_TX_PIN);
    }
    else {
      PORTB &= ~(_BV(SERIAL_TX_PIN));
      asm volatile ("nop");
    }
    _delay_us(SERIAL_TIME_PER_BIT2);
  }
  PORTB |= _BV(SERIAL_TX_PIN);    // stop bit
  _delay_us(SERIAL_TIME_PER_BIT1);
}

書き込む前に、ATtinyの3番(D1)とMPL2303SAの4番(RXD)を結ぶ線は外しておいて下さい。

ATtiny10への書込が成功したら、上記の線を結線し、MPL2303SAをUSBに接続し直し、シリアルモニターを表示し、9600ボーで受信して下さい。 LEDが点滅した後、Hello World!が表示(たまに文字化けがあります)されます。

Hello_World.png

タイミングのずれ?

ここで、なぜSerialWriteをforループで書かないのか疑問がでると思いますが、Forループの処理を 入れると文字化けしたり、止まったりするのです。 *2

以下がForループを使ったスケッチです。

#define  led  2

char  *msg = "Hello World!\n";

void setup() {
  serialBegin();
  pinMode(led, OUTPUT); 
}

void loop() {
  digitalWrite(led, HIGH);
  delay(1000);
  digitalWrite(led, LOW);
  delay(1000); 
  for (char *s = msg; *s; s++)
    serialWrite(*s);
}

bitDuinoに切替

Twitterにこのページを紹介したら、まりすさんからbitDuinoを紹介して頂きました。

コンパイルサイズも小さく、動かなかったForループを使ったスケッチが動くようになりました。 Forループのスケッチは、以下の通りです。

#define  led  2

static char  *msg = "Hello World!\n";

void setup() {
  serialBegin();
  pinMode(led, OUTPUT); 
}

void loop() {
  digitalWrite(led, HIGH);
  delay(1000);
  digitalWrite(led, LOW);
  delay(1000); 
  for (char *s = msg; *s; s++)
    serialWrite(*s);
}

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