Arduino勉強会

2016/02/07からのアクセス回数 4790

ディスクリート555の作成

トラ技2016/01で紹介されたタイマーIC NE555をトランジスタで再現したディスクリート555を作ってみました。

disc-555_demo.png

ディスクリート555の回路

トラ技の図3からディスクリート555の回路を引用します。

fig-3.png

ユニバーサル基板のパターンも図8より引用します。トランジスタの赤線はPNPの2SA1015で、 黒線がNPNの2SC1815です。 *1

fig-8.png

このパターンをいつものようにテクノペンで回路を書いて作成しました。 *2

desc_555_ptrn.png

動作確認

ディスクリート555テをストをする前に、オリジナルのNE555を使ってLEDの点滅回路をブレッドボードで動かしました。 以下のサイトを参考にさせて頂きました。

抵抗とコンデンサーの値は、以下の様に設定しました。

T1とT2の周期は、以下の様になります。(データシートのASTABLE OPERATION)

ArduinoオシロスコープKti-Scopeを使ってNE555の波形をみる

Arduinoオシロスコープ(Kit-Scope)専用のArduinoとして、ちっちゃいものくらぶYahoo店の600円の Arduino Nano3.0 互換ボード を使いました。

NE555-osc.png

回路図の①(NE555の3番ピン)と③(NE555の6番ピン)の波形をKit-Scopeでみてみます。 T1の周期波、計算値の69m秒と一致しており、③のチャージと放電の繰り返しも上手く捉えています。

NE555-p1p3.png

ディスクリート555の波形をみる

NE555で発振回路の動作が確認できましたので、ディスクリート555の波形をみてみましょう。

機器の接続は、以下の様にしました。

DES555-osc.png

回路図の①(NE555の3番ピン)と③(NE555の6番ピン)の波形をトラ技図10から引用します。

fig-10.png

回路図の①(NE555の3番ピン)と②(NE555の7番ピン)のディスクリート555の観測波形を以下に示します。

DES555-p1p2.png

回路図の①(NE555の3番ピン)と③(NE555の6番ピン)のディスクリート555の観測波形を以下に示します。

DES555-p1p3.png

回路内部の波形

ディスクリート555を作ったのは、1チップの回路をトランジスタで組み立てる興味と、 回路内部の信号をオシロスコープで観察してみたいという思いからです。

今ならSPICEを使えば、波形は調べられるのでしょうが、計算値と実際に組んだ回路では一致しないこともあります。

まずは上部コンパレータ部の③から⑦までの波形プロットしたトラ技の図11を引用します。

fig-11.png

この回路のキモは、抵抗R7とR8+R9でVCCの2/3に分圧した点(図3の赤丸)から2\(V_{BE}\)下がった ⑥の電圧が一定となり、③のチャージが進む区間Aの終わりでTr5に電流が流れ始め④の電圧が下がって いる様子がはっきり見て取れます。この結果Tr6を経由した電流(c)がTr16をオンにします⑦。

これをディスクリート555でみてみましょう。 赤線で③(NE555の6番ピン)を一緒に表示して位置関係が分かるようにしました。

④の波形は、以下の様になります。区間Aの終わりで下がります。

DES555-p1p4.png

これとは対照的⑤の波形はTr8を流れる電流が減少するため、上昇します。

DES555-p1p5.png

確認のため、電圧が一定であるはずの⑥をプロットします。

DES555-p1p6.png

Tr16に流れる電流がフリップフロップのリセットとして機能します。 ⑦を見ると④の下降に合わせて電圧が上昇しています。

DES555-p1p7.png

下部コンパレータ部

下部のコンパレータは、(R7+R8)とR9で分圧されたVCCの1/3点(1.1V)であり、Tr12のエミッタ 電圧は2\(V_{BE}\)上がった2.3Vを保ちます。

⑧の波形は、以下の様に一定になっています。

DES555-p1p8.png

これに対して⑨(ノイズが多い)は、区間Aの終わりで下がり、区間Bの終わりで上がるパターンを示します。

DES555-p1p9.png

フリップフロップと出力部

フリップフロップと出力部の波形をプロットしたトラ技の図13を引用します。

fig-13.png

フリップフロップのコアはTr16とTr17であり、⑩と⑪の観測波形を表示してみます。 区間Aの終わりでHighからLowに変わっています。

DES555-p1p10.png

これに対して⑪の波形は、区間AではLow、区間BでHighに変化しています。

DES555-p1p11.png

図13の下部に区間A、B、区間C、Dの4つのタイミングに分けて、状態を整理してみます。

機能トランジスタ波形ABCDReset=L備考
リセットTr6OFFONOFFOFFOFF流れると電圧が下がる
セットTr15OFFOFFOFFONON区間Aのレベルは、0.6Vを超えない
フリップフロップTr16OFFONONOFFOFF
フリップフロップTr17ONOFFOFFONOFF
出力Tr20OFFONONOFFON
出力Tr24OFFONONOFFON
放電Tr14OFFONONOFFON
555の出力HLLHL

コメント

選択肢 投票
おもしろかった 4  
そうでもない 0  
わかりずらい 0  

皆様のご意見、ご希望をお待ちしております。勉強会で分からなかったこと等、お気軽に問い合わせて下さい。

スパム防止に画像の文字列も入力してください。


(Input image string)

*1 抵抗の6.8Kと3.9Kは抵抗を組み合わせて作りました
*2 赤の部分が抜けていました

トップ   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
SmartDoc