[[FrontPage]] 2009/07/18 からのアクセス回数 &counter; #contents ** GMC-4について [#ve7ca79f] GMC-4は、学研の「大人の科学」Vol.24の付録に付いている4ビットマイコンボードです。 http://otonanokagaku.net/magazine/vol24/index.html &ref(GMC-4.jpg); *** ハードウェア構成 [#qe5942f6] GMC-4には、 - 1個の7セグメントLED - 1個のスピーカ - 7個のLED - 数字キーとASET, INCR, RUN, RESETのキー が載っており、 - プログラム領域は、00-4F - メモリ領域は、50-5F - A, B, Y, Z, A', B', Y', Z'の8個のレジスタ を持っています。 - Aレジスタは、演算用レジスタ - Yレジスタは、アドレスレジスタ - Zレジスタは、条件レジスタ として使用され、その他は、補助用のレジスタとなっています。 *** 命令セット [#tf2638b8] GMC-4の命令セットは、 |命令コード|命令記号|実行フラグ|機能| |0|KA|0,1|押している数字キーをArに入れる。押されていない場合は実行フラグが1。| |1|AO|1|Arの内容を数字LEDに点灯する。| |2|CH|1|ArとBr、YrとZrの内容をそれぞれ入れ替える。| |3|CY|1|ArとYrの内容を入れ替える。| |4|AM|1|Arの内容をデータメモリに入れる。| |5|MA|1|データメモリの内容をArに入れる。| |6|M+|0,1|データメモリの内容にArの内容を加え、Arに入れる。桁上げがあると実行フラグが1。| |7|M-|0,1|データメモリの内容からArの内容を引き、Arに入れる。引けないとき実行フラグが1。| |8|TIA|1|命令の次のデータをArに入れる。| |9|AIA|0,1|Arの内容に命令の次のデータを加え、Arに入れる。桁上げがあると実行フラグが1。| |A|TIY|1|命令の次のデータをYrに入れる。| |B|AIY|0,1|Yrの内容に命令の次のデータを加え、Yrに入れる。桁上げがあると実行フラグが1。| |C|CIA|0,1|Arと命令の次のデータを比べる。異なる場合は実行フラグが1。| |D|CIY|0,1|Yrと命令の次のデータを比べる。異なる場合は実行フラグが1。| |F|JUMP|1|実行フラグが1のとき、続けて指定したアドレスにジャンプする。| この他にサービスコールとして、 |命令コード|命令記号|実行フラグ|機能| |E0|CAL RSTO|1|数字LEDを消灯する。| |E1|CAL SETR|1|2進LEDを1個点灯する。点灯するLEDはYrで指定する。| |E2|CAL RSTR|1|2進LEDを1個消灯する。消灯するLEDはYrで指定する。| |E4|CAL CMPL|1|Arの内容をbit反転する。| |E5|CAL CHNG|1|Ar、Br、Yr、Zrと補助レジスタA'r、B'r、Y'r、Z'rの内容を入れ替える。| |E6|CAL SIFT|0,1|Arの内容を1bit右へ移動する。結果が偶数のとき実行フラグが1。| |E7|CAL ENDS|1|エンド音を鳴らす。| |E8|CAL ERRS|1|エラー音を鳴らす。| |E9|CAL SHTS|1|"ピッ"という音を鳴らす。| |EA|CAL LONS|1|"ピー"という音を鳴らす。| |EB|CAL SUND|1|Arの内容に対応する音階を鳴らす。| |EC|CAL TIMR|1|(Arの内容+1)×0.1秒間プログラムの実行を停止する。| |ED|CAL DSPR|1|データメモリの内容を2進LEDに点灯する。5F番地の内容を上位、5E番地の内容を下位に表示する。| |EE|CAL DEM-|1|データメモリからArの内容を引き、10進数に直してデータメモリに入れる。| |EF|CAL DEM+|1|データメモリにArの内容を加え、10進数に直してデータメモリに入れる。桁上げがある場合は一つ前の番地の値に1を加える。| があります。((E3のCAL INPTは、ありません)) ** コンパイラー [#h5730b34] GMC-4では、 - プログラムを命令セットで表現し - 手でコードに翻訳 することで、プログラミングします。しかし、これではミスも多く、小さなプログラムを作るのでも大変です。 そこで、以下のような簡易言語から命令セットに変換するコンパイラーを作成しました。 例)15秒カウンタ #pre{{ int a; a = 15; while (a > 0) { out(a); shts(); a = a - 1; timer(10); } }} 生成された命令セット(アセンブラ)は、 #pre{{ TIA f TIY 0 AM L1: TIY 0 TIA 0 AIA 1 M- JUMP L2 TIY 0 MA AO CAL SHTS TIY 0 TIA 1 M- TIY 0 AM TIA a CAL TIMR JUMP L1 L2: CAL ENDS L3: JUMP L3 }} *** アセンブラ [#fbb36069] 命令セットからコードに翻訳するアセンブラが、以下のサイトにあります。 http://www.musashinodenpa.com/misc/GMC4/ ここで変換すると #pre{{ アドレス 命令 命令コード 00 TIA 8 01 <F> F 02 TIY A 03 <0> 0 04 AM 4 05 TIY A 06 <0> 0 07 TIA 8 08 <0> 0 09 AIA 9 0A <1> 1 0B M- 7 0C JUMP F 0D <0> 0 0E <2> 2 0F TIY A 10 <0> 0 11 MA 5 12 AO 1 13 CAL E 14 _SHTS 9 15 TIY A 16 <0> 0 17 TIA 8 18 <1> 1 19 M- 7 1A TIY A 1B <0> 0 1C AM 4 1D TIA 8 1E <A> A 1F CAL E 20 _TIMR C 21 JUMP F 22 <0> 0 23 <5> 5 24 CAL E 25 _ENDS 7 26 JUMP F 27 <2> 2 28 <6> 6 }} ただし、最初のJUMP 02はバグのようで必ず最初のJUMPの値が正しくセットされません。 正しくは、JUMP 24です。 ** シミュレータ [#i4366508] GMC-4の元になった「FX-マイコン」のシミュレータが以下のURLに公開されています。 http://homepage2.nifty.com/kocha_web/fxms/fxms.html これを使って生成されたコードが正しく動作するか試してみます。((コンパイラーのデバッグに重宝しました)) &ref(FX-Simulator.jpg); - 例題をFX-マイコン・シミュレータで実行するためのファイル&ref(sample.fxp); ** 言語仕様 [#f7bba4b6] 言語は、命令セットの影響を強く受け、 - $A, $ZでAレジスターの値、Zレジスターの値をそのまま使うことを指定できるようにしました。 - 条件レジスタの制約がきつく、比較が>と==のみとなりました。 - 引き算は、変数に対してのみ可能です。 となりました。 コンパイラーの処理する言語仕様を以下に示します。 #pre{{ prog :: declaration* statement+ declaration :: int ID ( ',' ID )* compoundStatement :: '{' statement+ '}' statement :: expr ';' | ID '=' expr; | ';' | compoundStatement | ifStm | whileStm | 'led' '(' expr ')' ';' | 'out' '(' expr ')' ';' | 'cmpl' '(' expr ')' ';' | 'shift' '(' expr ')' ';' | 'shts' '(' expr ')' ';' | 'sound' '(' expr ')' ';' | 'timer' '(' expr ')' ';' expr :: '$A' | 'key' '(' ')' | term ( '+' CONST | '+' ID )* | ID '-' CONST | ID '-' ID term :: CONST | ID ifStm :: 'if' '(' comparisonExpr ')' statement whileStm :: 'while' '(' comparisonExpr ')' statement comparisonExpr :: '$Z' | 'key' '(' ')' | ID '>' CONST | term '==' ( ID | CONST ) ID :: ('a'..'z'|'A'..'Z')('a'..'z'|'A'..'Z'|'0'..'9')* CONST :: '0'..'9'+ }} ** ソース [#u66b7263] GMC-4コンパイラーのEclipseプロジェクトを以下のファイルをダウンロードしてください。 - &ref(Gem4c.zip); ** コメント [#ia6995e1] この記事は、 #vote(おもしろかった[4],そうでもない[0],わかりずらい[0]) 皆様のご意見、ご希望をお待ちしております。 #comment_kcaptcha