2021/05/01からのアクセス回数 4992
Arduino UNOを使い始めて10年あまりが立ちますが、ずっと不思議に思ってことにArduinoのスケッチをソースレベルでデバッグする方法を紹介した記事がないことです。
Arduinoに使われているATmega328P単体ならATMEL Studio(現 Microchip Studio)を使ってC言語のソースデバッグの記事は見かけられますが、 Arduinoとなるとほとんどヒットしません。 また、AVR Studioでソースレベルのデバッグをするには、AVR Dragon(7,350円)やAtmel-ICE(11,000円)と高価なツールが必要でした。
トランジスタ技術2021年4月号では、基板レベルではありますが安価なMPLAB Snap(2,850円)を使ったデバッグ方法が紹介されました。
Microchip StudioでMPLAB Snapを使用するには、少しの準備(改造)が必要です。
技術2021年4月号の写真2(43p)は、少し古いモデルみたいで、私が秋月から購入したものはR48の位置が少し異なっていました。 隙間が狭くピンセットが入らなかったので、チップ抵抗にコテを当てた後ドライバーでずらして、取り外しました。
MPLAB SnapのFirmwareの更新には、Windows版のMPLABX IDEが必要です(Mac版では更新できませんでした)。
MPLABX IDEは以下のサイトからMPLABX-v5.45-windows-installer.exeをダウンロードしました。
MPBLAX IDEでATmega328Pのプロジェクトを作成し、MPLAB Snapを接続すると更新できました(すみません画像を取りそこねました)。
更新前のバージョンは
``` Connecting to MPLAB Snap... Currently loaded versions: Application version............00.00.17 Boot version...................01.00.00 Script version.................00.04.07 Script build number............59586f4647 Tool pack version .............1.3.305 ```
アップグレード後のバージョンは以下のように出力されました。
``` Connecting to MPLAB Snap... Currently loaded versions: Application version............00.04.18 Boot version...................01.00.00 Script version.................00.04.07 Script build number............59586f4647 Tool pack version .............1.3.305 ```
Arduino UNOでデバッグツールが動かない理由が以下のサイトに説明されています。
Arduino UNOの公式サイトから回路図の一部を引用します。
Arduino IDEでスケッチをArduinoにアップロードした後に、Arduinoをリセットする必要があります。 このリセット信号は瞬間的にLOWになるパルスが必要ですが、シリアルの通信でそのような制御はできません。 そこで、CTSをLOWにしたあとC4とRN10のCR回路でリセット信号を作っています。
Arduino IDEにとっては便利なCR回路ですが、これがデバッグツールの制御に悪影響を与え、デバッグできなかったのです。
Arduino UNOの互換器では、CR回路がボードに直付けになっており、切り離すことができません。
しかし、秋月電子から発売されている
a href="https://akizukidenshi.com/catalog/g/gP-04399/">ATMEGA168/328用マイコンボード(I/Oボード)通販コード:P-04399</a> を使うとシリアルとの接続(TX, RX, RST)をジャンパーで選択することができます。
## ArduinoスケッチをMicrochip Studioでデバッグ 残念ながら、Microchip Studioは、Windows版のみが提供されており、MacのVirtualBoxでは動作しませんでした(Paralles, VMwareでは動作が確認されているみたいです)。
### Microchip Studioのインストール Microchip Studio for AVR and SAM Devices 7.0.2542のオフラインインストーラを以下のURLからダウンロードします。
### Arduino UNOとMBLAB Snapとの接続 Arduino UNOとMBLAB Snapとの結線は、トランジスタ技術2021年4月号の図8から引用します。
結線を整理すると以下のようになります。
MPLAB Snap | Arduiono ISPピン |
2: VDD | 2: VCC |
3: GND | 6: GND |
4: DAT | 1: MISO |
5: CLK | 3: SCK |
6: AUX | 5: /RESET |
7: TDI | 4: MOSI |
自由に切り離せるメス・押すのピンケーブルを使って以下のようにテープでまとめました。
Microchip StudioにArduinoスケッチをインポートする手順は、以下の動画に紹介されています。
手順としては、以下の通りです。
Arduinoプロジェクトの作成画面では、「Create project from Arduino sketch」を選択し、プロジェクト名称、作成ディレクトリを入力して、OKボタンを押下します。
インポートするArduinoのスケッチを指定し、ボードのタイプ、CPUデバイスをセットしてOKボタンを押下します。 必要なライブラリも合わせてインポートされ、Microchip Stduioのプロジェクト画面が表示されます。
Arduinoスケッチをデバッグするときに注意が必要なことにヒューズ・ビットの切り替えです。 ATmega328Pのデバッグには、ISPインタフェースからdebugWIREインタフェースに切り替えるために、 ヒューズ・ビットを書き換える必要があります。
Arduino(ATMEGA168/328用ボード)のジャンパを外して電源をオンにし、MPLAB Snapを接続してください。
以下の手順でデバッグを開始します。
この後は、Step Over(ステップ実行)、Step Into(関数内に入る)、Step Out (関数を抜ける)、Continue(続ける)等の デバッグコマンドが使用でき、Autos画面では変数の値が確認できます。
ブレークポイントをセットしておけば、Continueボタンを押下した時にブレークポイントで停止します。
Launch Failedが出たときには、ターゲットボードの電源またはケーブルの配線をチェックしてください。
デバッグを完了したら、必ずISPモードに戻してください。 debugWIREモードからISPモードに戻すには、デバッグの最後に
皆様のご意見、ご希望をお待ちしております。