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2009/05/17 からのアクセス回数 37075

ARMの開発環境のセットアップは、難しいというイメージがありましたが、 ここでは、以下の3つの方法を紹介します(マシン環境はMac OS X Leopardです)。

どちらを採用するかは、いろいろですが私はMacPort版を使うことにしました。

必要最低限のツールのソースからのインストール

ツールが思った通りに機能しないとき、原因の切り分けをするために、機能を 必要最低限に絞ってテストすることがあります。

ここでは、ARMのクロス開発に必要なgccとbinutilsのみを作成する方法を説明します。 *1

newlibやC++など組み込みであまり必要でないツールを除くことでmakeが非常に簡潔になります。

作成するツールのバージョンは以下の通りです。

MacPortでは、arm-elf-gdbがないので、ついでにgdbもダウンロードします。

ソースのダウンロード

作成に使用するソースを~/local/arm/toolchainに置くことにします。

$ mkdir -p ~/local/arm/toolchain
$ cd ~/local/arm/toolchain
$ curl -O ftp://gcc.gnu.org/pub/binutils/releases/binutils-2.18.tar.bz2
$ curl -O ftp://gcc.gnu.org/pub/gcc/releases/gcc-4.0.2/gcc-core-4.0.2.tar.bz2
$ curl -O ftp://sourceware.org/pub/gdb/releases/gdb-6.7.1.tar.bz2

binutilsの作成

最初にbinutilsを作成します。

configureのオプションには、以下のオプションを指定します。

$ tar xjvf binutils-2.18.tar.bz2
$ mkdir binutils-2.18/build
$ cd binutils-2.18/build
$ ../configure --target=arm-thumb-elf
$ make

約3分程度でコンパイルが終わります。

正常にコンパイルできたら、/usr/local/binにインストールします。

$ sudo make install

インストールが完了すると/usr/local/arm-thumb-elfと/usr/local/binにツール セットされます。

gccの作成

gccは、binutilsとほとんど同じ作業になります。

configureのオプションには、以下のオプションを指定します。

$ tar xjvf gcc-4.0.2.tar.bz2
$ mkdir gcc-4.0.2/build
$ cd gcc-4.0.2/build
$ ../configure --target=arm-thumb-elf --without-libs
$ make

コンパイルには、ちょっと時間がかかります。

正常にコンパイルできたら、/usr/local/binにインストールします。

$ sudo make install

MacPortを使ったインストール

次に、MacPortを使ってbinutils, gcc, newlibをインストールします。

MacPortの一番のメリットは、最新のバージョンに更新するのが容易なことです。

binutils, gcc, newlibのインストール

MacPortを使ったインストールはきわめて簡単です。(でも時間はそれなりに掛かります)

$ sudo port install arm-elf-gcc

残念ながら、MacPortでインストールすると/opt/local/bin/にarm-elf-gccが作成されません。 そこで、手作業でgccのシンボリックリンクを作成します。

$ cd /opt/local/bin
$ sudo ln -s arm-elf-gcc-4.3.2 arm-elf-gcc

この作業はARM用のgccをバージョンアップするたびに行う必要があるので、気をつけてください。

gdbの作成

次に、gdbを作成します。 gdbは、MacPortで作成したgccと一緒に使うので、/opt/local/arm-elfにインストールします。

configureのオプションには、以下のオプションを指定します。

$ cd ~/local/arm/toolchain
$ tar xjvf gdb-6.7.1.tar.bz2
$ mkdir gdb-6.7.1/build
$ cd gdb-6.7.1/build
$ ../configure --target=arm-elf --prefix=/opt/local/arm-elf/
$ make

正常にコンパイルできたら、/opt/local/binにインストールします。

$ sudo make install

YAGARTOを使ったインストール

初心者にお薦めなのが、YAGARTOツールです。 Windows, Mac OSXに対して、コンパイル済みのパッケージを提供しています。

以上で完了です。

Zylin CDTのインストール

最後に、EclipseでOpenOCDを使ってソースレベルのデバッグをするためのプラグインZylin CDTをインストールします。

Zylin CDTはEclipseのupdate site機能を使ってインストールします。 私は以下の環境でインストールしています。

詳しいインストール方法は、YAGARTOのサイトを参照してください。

YAGARTOの画像を使って、Zylin CDTのインストール方法を説明します。

eclipse23_1.jpg

eclipse23_2.jpg

eclipse23_3.jpg

Eclipse 3.4(ganymede)からUpdate Site機能が強化され、足りない機能を自動的に ダウンロードしてくれるので、とても簡単になりました。

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(Input image string)

*1 コンパイルオプションなどは、OLIMEX SAM7-P64 についてのページを参考にさせていただきました

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