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2009/04/26からのアクセス回数 21436

はじめに

ディジタル・デザイン・テクノロジにLattice XP2が付録として付いてきました。

1.jpg

残念ながら、

  • なひたふさんが、 Window用の書き込みソフト を公開されていますが、Mac OS Xでは使えません
  • Lattice XP2用のUSB接続のダウンロードケーブルが入手が難しいため、VM Wareでは書き込めない

ためUrJtagを使ってプログラムを書き込むことにしました。

JTAGケーブルの選定

UrJtagは、 様々なJTAGケーブル をサポートしています。

  • Xilinx parallel cable等のパラレルポート用のJTAGケーブル
  • JTAGKeyやOlimex ARM-USB-JTAG等のFT2232を使ったUSBケーブル
  • Altera USB-Blaster, Xilinx Platform USB Cable

しかし、

  • Macにはパラレルポートはありませんし、
  • LeopardではD2XXドライバとVCP(仮想COMポート)ドライバは同時に使用できないため、FT2232を使ったUSBケーブルはそのままでは正常に動作しません。詳しくは、 MacOSXでFTDIのBit-Bangモードを試す を参照してください。

そこで、USB-Blasterの互換ケーブルを使うことにしました。 私は試していませんが、 世の中にはUSB-Blasterもどきというのもあるみたいです。

UrJtagのインストール

MacPortを使って、UrJtagをインストールします。 ターミナルから以下のコマンドを入力します。

$ sudo port install urjtag

これだけで、urjtagのインストールは完了です。ターミナルから使用する場合には、/opt/local/binがPATHにセットする必要があります。ホームディレクトリの.profileに以下の1行を追加してください。

export PATH=/opt/local/bin:/opt/local/sbin:$PATH

UrJtagの動作確認

urjtagが正常にインストールできたかどうか確認します。USB-Blasterは、接続直後は不安定なので、USBに接続してしばらく待ちます。

  • USB-Blasterを接続
  • urjtagを起動(jtagと入力)し、
  • jtag>プロンプトが表示されたらcable UsbBlasterと入力します
    $ jtag
    
    UrJTAG 0.9 #1359
    Copyright (C) 2002, 2003 ETC s.r.o.
    Copyright (C) 2007, 2008 Kolja Waschk and the respective authors
    
    UrJTAG is free software, covered by the GNU General Public License, and you are
    welcome to change it and/or distribute copies of it under certain conditions.
    There is absolutely no warranty for UrJTAG.
    
    WARNING: UrJTAG may damage your hardware!
    Type "quit" to exit, "help" for help.
    
    jtag> cable UsbBlaster
    Connected to libftdi driver.
    jtag> 
    
    のようにConnected to libftdi driver.が表示されたら、urjtagがUsbBlasterを正しく 認識できています。

UrJtagの使い方

urjtagの基本的な使い方を、トラ技2006年4月号の付録、ALTERAのCPLD Max II で調べてみます。

これが、MAX IIとHDL-CQ1の実験用ボードです。

scan.jpg

接続しているチップを調べるコマンドがdetectです。 UrJtagのdetectを実行します。

jtag> detect
IR length: 10
Chain length: 1
Device Id: 00000010000010100001000011011101 (0x00000000020A10DD)
  Manufacturer: Altera
  Unknown part!
chain.c(133) Part 0 without active instruction
chain.c(184) Part 0 without active instruction
chain.c(133) Part 0 without active instruction
jtag> 

メーカーがAlteraであることは認識しているようですが、チップはUnknown part!と 出力されます。

これは、UrJtagのデーターベースにMAX IIが登録されていないためです。

BSDLファイルからJTAG情報を抽出

今回のチップは、Altera EPM240T100です。

Googleで、EPM240T100 BSDLで検索して、EPM240T100のBSDLファイルをダウンロードします。 私は、ここからEPM240T100 のBSDLファイルをダウンロードしました。

BSDLファイルには、EPM240T100のチップ情報が定義されています。

次に、ダウンロードしたEPM240T100.BSD.txtをbsdlコマンドを使ってJTAG情報に変換します。

$ jtag
jtag> bsdl dump EPM240T100.BSD.txt
 signal GND(1)
 signal GND(2)
 signal GND(3)
 signal GND(4)
 signal GND(5)
途中省略
 bit 236 O ? IO27 235 1 Z
 bit 237 I ? IO26
 bit 238 C 1 *
 bit 239 O ? IO26 238 1 Z
jtag> 

dumpコマンドの結果をコピーし、epm240ファイルに保存します。

JTAG情報のセット

UrJtagのJTAG情報は、インストール先のxxxx/share/urjtag/以下に保存されています。 MacPortでインストールしたUrJtagの場合、/opt/local/share/urjtagになります。

JTAG情報は、製造会社名/型名/品番名のような階層構造になっており、MAX IIの情報は

/opt/local/share/urjtag/altera/epm240/epm240

に置くことにします。

このディレクトリは管理者権限でないとアクセスできないので、

$ sudo mkdir -p /opt/local/share/urjtag/altera/epm240/
$ sudo cp -p epm240 /opt/local/share/urjtag/altera/epm240/

次に、/opt/local/share/urjtag/altera/のPART情報にepm240の型情報をセットします。

BSDLに

attribute IDCODE_REGISTER of EPM240T100 : entity is
  "0000"&               --4-bit Version
  "0010000010100001"&   --16-bit Part Number (hex 20A1)
  "00001101110"&        --11-bit Manufacturer's Identity
  "1";                  --Mandatory LSB

と定義されていますので、0010000010100001がパート番号になります。

PARTSに以下の1行を追加します。

0010000010100001        epm240                  EPM240

次に、/opt/local/share/urjtag/altera/STEPPINGSにバージョン番号を登録します。

0000    epm240          0

これで、EPM240が正しく認識できるか調べてみましょう。

$ jtag

jtag > cable UsbBlaster
Connected to libftdi driver.
jtag> detect
IR length: 10
Chain length: 1
Device Id: 00000010000010100001000011011101 (0x00000000020A10DD)
  Manufacturer: Altera
  Part(0):         EPM240
  Stepping:     0
  Filename:     /opt/local/share/urjtag/altera/epm240/epm240
jtag> 

今度は、EPM240として認識されました。これで完了です!

バウンダリスキャンを試してみる

先にEPM240が認識された状態から、バウンダリスキャンを実行します。

IDCODEのチェック

最初にIDCODEを出力してみます。

JTAGでの手順は以下の通りです。

  1. instructionにIDCODEを指定する
  2. irレジスタをシフトする
  3. drレジスタをシフトする
  4. drレジスタの内容を表示する

を実行した結果は以下の通りです。

jtag> instruction IDCODE
jtag> shift ir
jtag> shift dr
jtag> dr
00000010000010100001000011011101
jtag> 

drの値にdetectの出力でてた、

Device Id: 00000010000010100001000011011101 (0x00000000020A10DD)

の値がセットされていいます。

SAMPL/PRELOADコマンド

次にSAMPL/PRELOADコマンドを使って各ピンの状態を出力します。

jtag> instruction SAMPLE/PRELOAD
jtag> shift ir
jtag> shift dr
jtag> dr
001001001001001001001001001001
001001001001001001001001001001
001001001001001001001001001001
001001001001001001001001001001
001001001001001001001001001001
001001001001001001001001001001
001001001101001001001001001001
001001001001001001001001001001
jtag> 

見やすいようにdrの出力を30ビット単位で区切ってあります。 MAX IIは、IOピンが80ピンで、各ピンの情報は3つのセルで 管理されています。 一番右下の値がLSBの値です。

ほとんどが001のパターンに対して

sample.jpg

だけ101となっています。これは、右下から数えて17ピン目の情報です。 EPM240T100.BSDファイルをみると

  --BSC group 16 for I/O pin 1
  "48  (BC_4, IO1, input, X)," &
  "49  (BC_1, *, control, 1)," &
  "50  (BC_1, IO1, output3, X, 49, 1, Z)," &

とあり、ピン番号1番の情報であることが分かります。

MAX IIに書き込まれているプログラムは、1番ピンに1を出力し、LEDを点灯させるサンプルプログラム なので、その値を正しくスキャンできていることが分かります。

EXTESTコマンド

次にEXTESTコマンドを使ってピンの出力を変えてみます。 HDL-CQ1ボードのLED7は、EPM240の37ピンです。 EPM240T100.BSDファイルをみると、

  --BSC group 70 for I/O pin 37
  "210 (BC_4, IO37, input, X)," &
  "211 (BC_1, *, control, 1)," &
  "212 (BC_1, IO37, output3, X, 211, 1, Z)," &

とあり、ちょうどdrの出力の上から10ピン目になります。 この値を001から101に変更して、出力値として1を送るとLEDは消灯するはずです。

jtag> instruction EXTEST
jtag> shift ir
jtag> dr 001001001001001001001001001101
001001001001001001001110001001
001001001001001001001001001001
001001001001001001001001001001
001001001001001001001001001001
001001001001001001001001001001
001001001101001001001001001001
001001001001001001001001001001

001001001001001001001001001101
001001001001001001001110001001
001001001001001001001001001001
001001001001001001001001001001
001001001001001001001001001001
001001001001001001001001001001
001001001101001001001001001001
001001001001001001001001001001
jtag> shift dr
jtag> 

(ビット列は、10ピン単位に改行してあります)

すると予想通り、LED7が消灯します。 (中央の緑のLEDが3個だけ点灯しており、一番下のLEDが 消灯しています)

extest.jpg

CPLDへの書き込み

UrJtagは、CPLDへの書き込み用にSVFフォーマットをサポートしています。

LatticeのツールでSVFファイルを作成

それでは、Latticeのツールが生成したプログラムからSVFファイルを生成する には、どのようにすればよいかご説明します。

このツールは、GoogleでLattice jed svf convertで検索し、

http://www.it.lth.se/digp/PDF_files/lattice/lattice_dcd.pdf

の中の、Fig. 2-1の図でSVFファイルへの変換をサポートしていることを見つけました。

手順は以下の通りです。

  • ispVMを起動する
  • ispToolメニューからUniversal Fiel Writerを選択する
  • 出力ファイルフォーマットプルダウンメニューでSerial Vector FOrmat (*.svfr)を選択
  • Fiel->Open Input Data File...メニューを選択し、変換するjedファイルを選択する
  • Output Data Fileをダブルクリックし、出力ファイルを指定する
  • Project->Generateメニューを選択し、変換する

ispVM.jpg

Lattice XP2のBDSL情報

MAX IIと同様にLattice XP2のBSDLを取得し、JTAGファイルに変換します。

以下のファイルを参照してください。

プログラムの書き込み

最後に、SVFファイルをLattice XP2に書き込みます。

jtag> cable UsbBlaster
Connected to libftdi driver.
jtag> detect
IR length: 8
Chain length: 1
Device Id: 00000001001010011001000001000011 (0x0000000001299043)
  Manufacturer: Lattice Semiconductors
  Part(0):         lfxp2-5e-tqfp144
  Stepping:     0
  Filename:     /opt/local/share/urjtag/lattice/lfxp2-5e-tqfp144/lfxp2-5e-tqfp144
jtag> svf hdl_sample.svf
時間がかかりますが、そのまま待ってください
jtag> instruction BYPASS
jtag> shift ir
jtag> quit

これで、Lattice XP2をリセットすると、DL3の緑のLEDが点滅します。

コメント

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皆様のご意見、ご希望をお待ちしております。

  • JTAGの使い方は、INTERFACE 2005年2月号のJTAG徹底活用研究を参考にさせていただきました。 -- 竹本 浩? 2009-04-27 (月) 01:33:35
  • 「FT2232を使ったUSBケーブルはそのままでは正常に動作しません。」VID/PIDを書き換えているケーブルの場合はVCPドライバがロードされないので正常に動作します. -- もなか? 2010-02-05 (金) 17:04:51
  • もなかさま、コメントありがとうございます。どこのケーブルが使えるかご存じならお教え下さい。 -- 竹本 浩? 2010-02-05 (金) 20:21:09
  • もなかさま、ありがとうございます。うまく接続できました。arm/MacOSXでJTagKey(互換)を使うに記事を載せました。 -- 竹本 浩? 2010-03-30 (火) 15:04:54

(Input image string)


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Last-modified: 2023-09-02 (土) 14:43:08 (238d)
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